「我々はいかに「石」にかじりついてきたか」菊地敏之著
最近出版されたばかりの、菊地敏之著「我々はいかに「石」にかじりついてきたか ―日本フリークライミング小史―」を読み終わった。菊地さんは、いまやクライミングを学ぶ人のバイブル?という説もある「最新クライミング技術」の著者でもあり、興味を持って買ってみた。
自分はクライミングをやっていると言えるレベルではないが、ずっと登山を長くやっているので、必ず登山情報誌には多かれ少なかれクライミングのことが書いてある。自分は、実は高校生の頃から(えらく昔話でスイマセンが・・・)いつかは、岩をやってみたいなと漠然と思いながらもチラチラと記事を見てきた覚えはある。ちょうど山を始めたのが、私は1979年なのだけど、どうやら日本のフリークライミング元年は1980年のヨセミテ特集を雑誌「岩と雪」で組んだ時からだということをこの本で知った。確かに、当時の「山と渓谷」の本にも、チラチラとだけは、「フリー」とか「クラック」とか「ナチュラルプロテクション」「ヨセミテ」という単語が載っていたことは記憶している。当時の本格的登山をする者は「岩と雪」を買っていたようだけど、あまりに高いレベルのイメージや遠くの国の話ばかりが載っている雑誌という風に記憶している。当時は、まだ日本円が安くて、1ドル200円以上はしていた。だから、そんなに簡単には外国には行けない経済環境だった。
クライマーの人達が、当時どういう感じで海外の技術を取得しに行ったり、向上をしていったか?また、国内のフリールートがどうやって開拓されたのか・・・・・・・ その当時一線だった人達が、結構現在のクライミングジムのオーナーなんかに収まっていたりするのも興味深かった。
自分が普通の登山をやっていた間に、クライミング界はこうやって進化してきていたのか・・・・と思うと、なかなか感慨深い気持ちで一杯だ。私などが最近ちょこっとカジッているレベルのクライミングが、こういう進化の中から、岩場が整備されえ、ジムが生まれて、またクライミングガイドなる人種もこうやって生まれてきたのか・・・・・ アルパインクライミングとの違いも、今まだ以上に色々とわかってきて面白かった。
色んな結構よい考えが書いてあるけど、フリーは「態度」がとっても大切と書いてあった。どうしても技術的なことが特にフリーは強調されるけど(なんせ、技術レベルが数値化されているものね!) これは、別にフリーだけでなくて、山を登るとか、ボルダリングをするにしても、精神的なものって大切だなって言うことだと思う。
取り組み方、ひいては、その人の生き方に対する考え方みたいなものが大切ということだと思う。
結構、フリークライミングの内輪話的は本なので、好き嫌いが分かれる部分があるかもしれない。私的には、当時の80年代とかの岩系の話が一杯出てきて、とても興味深かったです。
また、日頃お世話になっているジムの「ランナウト」のヤマタケさんとか、ヤマジュンの話なんかもちらっと出てきて、なんだか嬉しかったです。
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