パウダーガイド編集部作成のバックカントリーの本が新しく出版された。
ユーリード出版という会社のA4版の大きさの本で、一番のウリはGPSデータを収録しているCDが添付されている点だ。
掲示板や日記でも書いているように、現在私のパソコンは音が出ないことと、さらにもともと入っているカシミールソフトとか地図ソフトのが競合しあって不具合が発生している関係でGPSのデータが見れない状態である。(一旦カシミールソフトをアンインストールさせてから再度インストールし直そうか思ったが、それもできなくて思案している状態。)
そういう状態で書評するのもどうかとは思うけど、一応GPSデータ以外の所を読んだ範囲での感想を書いてみようと思う。(最初にパウダーシーンを納めたビデオも収録してあって、なかなか良かったです。どんな音楽がバックに流れているかとかは不明でしたが。。。。苦笑)
まずは、こういう本は自分の行ったことのあるルートの部分から読んでしまうのが常であるが、40本のうちごく一部でも登ったり滑ったりしたことのあるのが9本(随分前に行った分も入れて)。大体その部分は読んでみた。もちろんこれから行ってみたいルートも大分読んでみた。ずばりその感想は、「小学生の作文みたいな体験記を読ませられるのは勘弁して欲しい」ということだ。
どうも本の印象が悪くなってしまったのは、最初の頃に読んだ立山のタンボ平滑走のコース説明なのだが、(21ページ付近)、浄土山の斜面から滑り降りてからタンボ平のコースに抜けるのは「御山谷」であって、「御前谷」ではないはずである。それなのに、複数回にわたって「御前谷」と書いてある。「御前谷」は雄山の山頂直下から、ダイレクトに降りていくかなりエクストリームなルートで、完全に間違った名前を書いている。ガイドブックとしては致命的なミスともいえるだろう。専門家とか一部の凄い人しか滑らないようなコースならばいいけど、ものすごくメジャーなコースの名前を間違ってしまうというのは如何なものか?(執筆した人が知らなくても、校正の段階で他の人が気がつかないものなのだろうか?) 他のところでも間違った記述があるんじゃないかと心配しならが他も読む羽目になってしまった。苦笑・・・・
確かにGPSをインプットしておいて、その通りに登ったり滑走したりするならば、山のコースの名前なんかどうでもいいという感覚の「滑り屋さん」はいるかもしれない。ただどこでもパウダーが滑れればいいとか・・・・・ だけど、それではあんまりですよね。。。。ちゃんと有名なクラッシックなルートの名前ぐらいはガイドブックならばきちんと抑えておきたいものである。
まあ、そんなことでつまづいてしまったもんで、どうも印象が最初から良くない。この本の作り自体は、最初に概略的な解説があって、それからもう少し細かめのアプローチとかおおよそのルート解説とアドバイスが載っている。そして、最後にかなりのウエイトで体験記のコーナーがあって、(○月○日 私はどうした~~~)というのが載っている。本を読むとわかるけど、かなりプライベート的な日誌風で、たとえばP25には「スキーシーズンももう終わりだ。違う仕事を探さねば。」という最初のイントロで八方のガラガラ沢の体験記が始まる。誰もガイドブックを読んでいて他人の失業の問題なんかを読まされるのは参るだろう(苦笑) 他にも自分のスキー仲間の紹介みたいな文章の経緯をずらずらと書いてあって、自分達は楽しいだろうけど、ガイドブックを読むたびにその話を読ませれるのは勘弁である。
もちろん、臨場感のある体験記というイメージが成功しているものもあって、さりげなく役立つ色んな情報が盛り込まれた文章になっているのを見ると、それは参考になってとてもよいと思う。要は玉石混交って感じ。なんか本当にちょっと幼稚(わざと軽いノリに仕上げているのか、本当に作文能力がないのか不明だが)な文書もかなりあったりして、こんなのだったら載せないで、解説文をもっと充実させて欲しいものだと強く感じる
また、「いっぱいシュプールがあるから、迷うことはないだろう」みたいな解説が幾つかあって、あまり詳しくルートの解説がないものもある。実際に、たまたま行った時期が良い時で視界良好、人が多くて、あまり考えずに行っても登れた、滑れたということなのだろうけど、それでは解説になっていないんだよね。私がこれっぽっちしか行っていない経験の中でも、結構視界不良で迷ったり、ルートが色々と取れそうで迷ったり・・・・・・。集団で行って、「連れて行ってもらう」という形ならば、この本とGPSだけでも行けると思うけど、初見のルートだともうすこし細かい解説も欲しいものだ。(たとえば、とても目立つポイントとか、山の描写とか斜面の様子とか)少なくとも、幼稚な駄文を載せるスペースがあったのならば、とても残念なことだと思う。
どうも、ライターの書き手の方が「若いノリで、体力抜群、滑りも抜群」みたいな感じがしてしまうケースが多くて、どうも「登山ガイドブック」的な感覚がなくて、「スキー雑誌をガイドブックにした感覚の本」というのが正直な感覚の違いなのだろう。だから、雑誌ならばこの手の体験記も楽しいだろう。(そもそも、そんなに何度も雑誌は読むことを前提としていないし、本と違っていつかは整理して捨てるというイメージがある。)だけど、今は体験記ならばいくらでもインターネットに載っているから、もっと客観的な情報が欲しいものなのです。。。。
去年買った佐藤明さんの「リフトで登る~」の本は、GPSの表示と丁寧な等高線を踏まえて解説や、山の描写もよく書かれていて、さすがにベテランの書いたものだと感心したものです。恐らく、コースの多くを何回か行った経験に裏打ちされた上での執筆なのではないだろうかと思う。
そういう意味では、今回のガイドブックはそこまでの感じではなくて、「今風の滑り屋さん達が作った雑誌風の本」という感じである。
まあ、あんまりいいことは書かなかったけど、「GPS」の40本のデータが入っているというだけでも「買う価値がある」と思うので、決して買って損は無いと思う。だけど、この本だけではやっぱ私は怖くて登れないなあと思うので、今まで持っているガイドブックと照らし合わせならば・・・・・・ということになるでしょう。辛口の評価で、どうも失礼いたしました。他の方々の感想も是非聞いてみたいものだと思います。
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