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2005/11/19

ヨーロッパ登山の謎の話(その2)

今年スイスに山登りに行って、マッターホルンを登った時に感じたことについては随分とホームページのレポで詳細に述べたつもりだが、関連して疑問に思っていたことについて、少し書いてみます。


インターネットなどの情報や現地での話として、一般的に日本人のガイドレスの人は時間がかかり過ぎて遅いという風に聞いていた。ガイドレスの人の多くは、前日にかなり上の方まで下見に行ったりして、暗い中を歩いても迷わないように各自工夫をしている。これは、日本人のパーティーもやっていることなので、なぜ日本人だけそう言われてしまうのだろう?体力差だけの問題なのか、単に高い山がないから高山病になりやすいから?何故だろうと思っていた。日本人の名誉のため?にも、真相が知りたいと思っていた。


実際は、当日は日本人のガイドレスの人には遭わなかったので、体力面だけでない何が違うのかな?帰国するまでの体験で自分でも一部わかった部分や感じたこともあったえど、漠然と謎だなあって思っていた。


それが、以前にも謎の話(その1)でも登場したフランス在住のゆきさんとミニオフ会でお会いして、とてもよくわかった気がした。ゆきさんは、フランスに行ってから山を始めた方なので、日本の山はネットや本などでしか知らない。最近一時帰国した際に、日本の山の幾つかを登られたが、岩には登っていない。


その彼女は、彼女のホームページで拝見するところ、ヨーロッパアルプスでいきなりバリエーションぽい所にがんがんん登っていて、凄いなあって思うのだった。岩や雪、まさにアルピニズムって感じ満載。ゆきさんの山登りは、本人曰くその山を登るために登攀的なことをしているのであって、特別に岩登りをバリバリに登りたいから登っている・・・・・という感じほどではないそうだ。いわゆる一般ルート自体がそんな感じになるのだそうだ。アルピニズム自体はそういうスタイルで山に登ることなので、ヨーロッパのハイキングでない登山の山は皆そんな感じなので、自然とロープを使った山登りになるそうだ。(このあたりのことは、私のスイスレポの総括にもコメントしました。)


向こうにも岩登りのゲレンデというのもあって、そこにはボルトがちゃんと打ってあって、そこでトレーニングはするそうだが、実際の本番の山ではボルトは皆無、残置ハーケンがわずかにあることもあるが、ほとんどそれさえも1つもないのが普通だという。それって、なんだか日本の違いすぎない??!! それで、本人は特別凄いルートには登っていないという。結局、日本人はボルトやら、残置されたものがだいたいどのルートに行ってもあるらしいので(本ちゃんを登ったことのない私が言うのも説得力が全くないですが。初心者向きの沢登りぐらいでも、あったりすることを考えると・・・)、そういう中で登攀というものを覚えるので、全く日本と違った登り方の勉強になるのでしょう・・・。

じゃあ、どうやって確保して登るの?って聞いたら、カムとかナッツなどのナチュラルプロテクションを使ったり、あとはヨーロッパの岩は尖がったピナクルみたいなのが多いので、それにシュリンゲを簡単にひっかけて確保支点に使うのだという。おおっ!! これでは、岩の感じが随分違う日本とはまさに違う登り方になるわけだ。日本はあんまりそういう感じの地質というのか岩質をしていないから、同じことはできない。日本の岩は高温多湿だから、もっと丸まっているっていうのかなあ? すくなくとも向こうの手が触っただけで切れてしまうような尖った岩質とは大きく違う。


日本は人口密度が高いから?人気ルートも固定化されて、一杯人が多いけど、そういう中ばかりで登っていると、ルートを探しながら登るというよりも、ボルトを探しながらとかいう感じの登り方になるから、そういう登り方だけをしていると、ヨーロッパでいきなり日本の登攀技術をを使おうと思っても、全然歯が立たないってことにつながるのだろう。だから、外国のルートを登るならば、傾向と対策って訳で、クラックの登りこみを日本でかなりやってから行くとか、下降には一般ルートを使わないで懸垂で降りてくる練習を一杯するとか(登っている人も多いから、そのあたりの兼ね合いがとれるといいけど)、そういう感じの練習をしないとならないのだろうな・・・・。


私の体験したガイド登山でも、下降の確保は本当にちょっとした小さな岩をうまく利用してビレイしていたものだ。この岩は確保で使えるか、使えないかなんていう判断は常に養っていかないと、そんなに簡単にとっさにはできないだろう。案外、自然を使った支点を利用する機会の多い沢登りなどでささっと確保ができるような応用力の技量なんかを持つ能力なんかも日本でトレーニングするには向いているかもしれない。(向こうの高い山には樹は生えていないけどね・・・・笑)


自分はクライミング関係のことは詳しくないので、本当かどうかわからないけど、逆に外国にもボルト連打のスポーツルートというのがあるらしい。もちろんヨーロッパの山といっても、色々あるだろうし、これが世界に広げると本当に色んな岩質や傾向があるだろう。


日本の中だけで山登りをしていた時には気づかなかったことが、外国に一回行くと本当に色々あるなあと思うし、日本の山の素晴らしさもより一層わかるので、やっぱり海外登山はやみつきになってしまいます。本当は20代の頃に1度はそういう機会があったら随分その後の私の山人生も変わっただろうけど・・・・なんて思うけど、遅ばせながら、広い意味での山登りを楽しみたいと思うものです。ゆきさんのお陰で、私のヨーロッパの登山の謎もまた一つ解決?できたみたいです。

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コメント

はじめまして。マッターホルン!!!山登りされたんですね~~。是非TBさせてください!!

投稿: ikuchiyotravel | 2005/11/20 22:35

ikuchiyotravelさん、どうもです。TBどうぞ。
そちらもスイスレポが長いですね。お疲れさまです。

投稿: MINMIN | 2005/11/22 00:33

MINMINさん、こんにちは。
MINMINさんの驚きは、私の驚きと同じだと思います、
ただし逆方向ですが・・・。
日本から買って帰った山の雑誌にも、日本ではボルトを探しながら登るのでラインを探さない、とか、トポと壁を見比べながら登ってる、とありました。やっぱりそれだと岩を読む力がつきにくいでしょうね。
最もフランス人は基本的にケチだから、ハーケン1本すら山には何も残しませんが!
おっしゃるように岩質や気候が違うのですからクライミングスタイルも違うのは当然ですよね。でもその違いの発見が面白かったりしますよね。
また次回もこの話で盛り上がりましょう(笑

投稿: ゆき | 2005/11/24 09:01

本当にあの最初にお会いした時に色々とお話を伺ったことは、とても自分にとっては有意義な時間でした。なんで日本人は・・・・っていう疑問を思っていた私なので。体力だけでは片付けられない部分って、クライミングスタイルなんですよね。最近の雑誌の「岳人」の記事に「日本でも残置のものを無視して登るとか、極力使わないようにする・・・ということが世界につながる山登りだ」みたいな記事を拝見しました。

是非今度日本に一時帰国されたら、日本のクラッシックルートを登って感想を聞いてみたいな。(相棒は、自分じゃ無理そうだから、Auroraさんあたりにパートナーを勤めてもらいましょうか?)と勝手にお膳立てしちゃいます。

「岩を読む力」・・・いい言葉ですね。縦走でも沢でも山スキーでもルートファインディングの面白さってあるものね。ゆきさんは、冬の間はどうされるのかなあ? そちらの住んでいる近くにもスキー場があるのかなあ?

投稿: MINMIN | 2005/11/25 21:55

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