« 根子岳山スキーと戸隠ゲレンデ | トップページ | 五日市剛講演「ツキをよぶ魔法の言葉」 »

2006/01/18

NHKドラマ「氷壁」

前評判というのか、前宣伝が華々しかった「氷壁」のドラマが始まった。
井上靖原作の本は、文庫本でも読んでいて(たぶん2回は読んでいるけど、ストーリーは結構忘れている部分が多い)、さらに昔確か若尾文子?か誰かがヒロインの白黒の映画もTVで放送されていたので見た覚えがある。


でも、今回のドラマはあくまでも小説とは別物。穂高の話はK2に、ヒロインもネイルサロンを経営していたり、肝心のロープ切断(かつて実際にあったザイル切断事件をこの小説はテーマに絡めているのが売りだったのだが)は、カラビナの不具合の事故、さらには亡くなってしまう主人公のパートナーはスポンサーをバックに山に行く・・・・という、大変現代的なアレンジになっている。


それがいいとか悪いとかでなくて、現代流にテレビを見るならば、それぐらいに変えないと確かに説得感の無いドラマになってしまうだろう。ザイルは現代ではほとんど切断される物ではなくなって、この実話の事件などを教訓にして厳しい品質管理がなされるようになって、ザイルが切れる設定自体はありえなくなった。カラビナがどうか?っていうことは疑問だが、最近では山をやらない若者でも、アクセサリーにカラビナもどきをもっている人も多いので、すくなくともロープが切れる話よりもいいんじゃないかな?て感じだろう。それに、穂高の冬山に命がけに登る?っていうのも、やっぱり現代的には世界のレベルの山ならば、当然それなりの難易度の山の必要があるだろうし・・・・・なんとなくNHKが今風にアレンジさせた必然性みたいなものは理解できなくもない。


別物をして楽しむのならば、やっぱりニュージーランドでロケをしたという素晴らしい白銀の世界、ダイナミックな映像が楽しい。予告編で出ている色んなシーンを見ているだけでも、ぞくぞくする♪ それに引き換え、日本の岩場はおもに三つ峠でロケされたそうだが、う~ん、どうみても穂高には見えない。やっぱり三つ峠に見えちゃう。合成映像でうまくバックの景色と合わせてはいるけど、どう見てもゲレンデチックな感じが否めない(苦笑)


あと、K2の登山基地コンコルディアでは、なんか地面?が見えたような感じがしたけど、ここって氷河の上だから地面が見えちゃあいけないんじゃないかなあ?とかも思ってしまった。(去年知人がK2のベースのさらに奥のガッシャブルムBCまで氷河トレッキングに行っているので、是非機会があれば確認したいものです)


それに、最大の笑えるシーンは?、二人のクライマーがソロで平行して登るシーンがあったが、クライミングの姿勢が俳優さんが演技しているとはいえ、とっても下手なクライマーで大爆笑。こんなに岩にへばりついて登っていいんだっけ? これじゃあ、自分レベルの超へたくそクライマーにしか自分には見えなくて残念。まあ、俳優さんだって、トレーニングしていたとはいえ、上手いクライマーの演技は無理だろうなあ・・・・。監修に山野井さんが名前を連ねていたので、空身で登っていて、あとでみたらちゃんとザックが終了点の上にあったから、「そうか、ソロで登る時って、空身で登って、あとでザックを引き上げるのか?」とかいう変に感心しているシーンもあった。山岳ガイドの方々もスタント等に入っていて、なかなか一応リアルには作ってあるので、そう嘘のテクなどはなくて、技術的にみておかしい部分はないようだけど、だけどなんとなくこういう技術ものは俳優さんの演技にも限界があるなあって思う。


さらに、自分は実は最近のドラマを見ていないので、主人公の玉木宏さんは初めてみる俳優さん(苦笑。かなり人気はある方らしい) 山本太郎さんのほうは見たことあってイメージがある俳優さんだった。自分のイメージだと、主人公は逆の方が合っているような気がするのだが・・・・。石坂浩二さんは、どうも再婚されてから自分の中では評価が下がった俳優さんなんだか、これからどんな演技をするのか、ちょっとドキドキしそう。鶴田真由の役も、現代的には随分変えてあるけど、うーん、そもそもあんなに長いネールをしていること自体が、ちょっと?で、そういうタイプの女性に山男がほれるのかなあ? 自分は女なんで、よくわからん。とにかく、人間ドラマの方は、臭い演出とストーリーのよう?なので、ちょっと見ていて気恥ずかしい。


だけど、とにかく綺麗な山の映像が見れる番組なので、毎回必ず見たいと思っている。

|

« 根子岳山スキーと戸隠ゲレンデ | トップページ | 五日市剛講演「ツキをよぶ魔法の言葉」 »

山の本&映画&TV」カテゴリの記事

コメント

MINMINさん
この番組については色々な見方が有ると、興味深く読ませて頂きました。
MINMINさんから見てどう言うコメントが出るかと実はとっても楽しみで待っていたのよ。
私も、ネイルサロン経営より、もっと別の山男2人を引きつける職業に就いている設定が良いなぁ〜と思うのでした(^^)
ネイルサロン経営なのに、夫の会社の会議?と言うか、そんな話の場にも居るしね。
クライミングの場面はこれからは俳優が演じている事、そう思って見て行こう(^^)
色々な意味で、これからも楽しみに見たいなぁ〜と思う。
私が中学生だと思うけど、見たのは、山本富士子だった。
古過ぎ〜〜〜

投稿: 山百合子 | 2006/01/18 08:51

このMINMINさんの感想。
私と夫とがテレビを前にして語った言葉の合体で、
なんだか、とても親近感。

登山シーンに関しては仕方ないんでしょうね。
三つ峠でかなり練習したと、宣伝では言ってたけど
どうしても、『こ・こわい』と体が言ってしまうの
でしょうね。

玉木くん、ビジュアル的に好きなんだけど、私も
この役は逆の方がいいなあ・・と感じました。
山本太郎は、俳優としてドンドンよくなってきてるし。

今週の山の映像を観るの、楽しみですね。
これだけ、ああだこうだと言いながら楽しめる
から、よしとしようかな ^^

投稿: ぴとこ | 2006/01/18 09:18

お久しぶりです。 山スキー談義も楽しませてもらっています。
この番組、最後の方だけ見ました。 大分原作と違いますね。
カラビナがキーになる様ですけど、主人公の一人が環付きカラビナは好きじゃないとか言っていた様なのですが、環付きかどうかは、使う場合が違うのではないですか?
クライミングはしないから判らないのですが、聞き間違いかしら。 以前、カラビナにリコールがかかっているのを、山渓で見ました。
撮影はニュージーだったんですね。 いいですねえ。
「指輪物語」もニュージーで撮られたのですよね。
行ってみたいです。 

投稿: REI | 2006/01/18 11:42

★山百合子さん
私も早く感想を書きたかったけど、肝心の山スキーのレポやら、現在仕事が少しヘビーなので、ちょっとなかなかかけなかったです。

ネイルサロンって、うーん、指先で男性を魅惑しちゃうのかなあ? とにかく、自分は普通のマニュキュアもしない人なので、ちょっと違和感が・・・・。

山本富士子、そうそう!! 大分昔に白黒映画だったので、若尾文子ならばたぶんカラーの時代がメインなので違いますね。ちょっと妖艶なイメージの女優さんだったから、その方です。

★ぴとこさん
そちらのプログはすぐに拝見していて、同じような感想の部分と違う部分と。。。とにかく話題のネタが出たっていうのが楽しいものですね。

玉木さんは、ビジュアル的には初めて見る人だったけど、好青年ですね。演技も悪くないので、まあ楽しんでます。誰かの感想で玉木さんは線が細すぎるって書かれていたのを見たのですが、典型的ながっちり体型の山男タイプを想像していた人も一般人にはいるみたいですね。そのイメージからするとミスキャストかもしれませんが、一般的にクライマーってほっそりしているのでいいんではないかなって思います。

★REIさん
環つきカラビナとそうでないカラビナは多少使う場面が違う場合もありますが、同じような所でも使います。せりふの中では、そうは言ってなかったような?? このカラビナは使い慣れていないので使いたくないというニュアンスに聞こえたのですが。軽ければいいってもんじゃない・・・という主人公の考えのせりふはあったと思いますが。

ニュージーランドは人件費が安いし、英語も使えるので、映画撮影の誘致をしているそうです。ハリウッド映画の多くがかなりロケ地として使っているらしいですね。素敵な自然でいいなあ。。。私もいつか行って見たいものです。

投稿: MINMIN | 2006/01/19 00:21

どもども、この件についてコメントを書かざるを得ない私であります(笑)。
まず、このドラマでザイル(登山用ロープという。)が切断しない設定で一番ホッとしているのは経済産業省でしょう。というのも、(確保に用いる)登山用ロープは昭和50年からずっと国が強度などについて安全基準を設定し、その基準に適合しないものは販売できない、という規制を行っているからです。ですので、登山用ロープはドラマの中ででも切断しちゃ”いけない”のです。(外国で購入したものと言えば良いような気もしますが。)
ちなみに、どんな安全基準かご興味がある方はコチラ→http://www.sg-mark.org/sg-pdf/S0026-04.pdf
(UIAA基準とは整合していない。剪断衝撃試験は日本独自。)

じゃ、カラビナならOKか?というと、実はカラビナにも安全基準はあります。でも、こちらは任意制度の下で運用されていて、実際にこの安全基準に適合していると認証された製品は、消防レスキューで使用されるもの(アルミではないもの)くらいかな~~。
ドラマの中で「やっぱり安全基準に合格したカラビナにすりゃ良かった・・・。」なんて発言があったらなぁ(爆笑)。

長々とスミマセン。(適当に削除してください。)

投稿: mt.racco@職場 | 2006/01/19 12:23

井上靖の原作で話題となった実話のザイル切断事件などのお陰で、ザイルについては厳しい基準で経済産業省なども一役買って現在のありかたになっているのですね。

ホント、このドラマでザイルが切れちゃったら、大変なことになってしまいましたね。カラビナでほっと?というのも苦笑ものですが、ストーリーとしては納得感が今のところ感じられるところが良いですね。リンクも拝見いたしました。リスク分析の業界筋のラッコさんならではの情報、ありがとうございました。

投稿: MINMIN | 2006/01/19 22:09

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NHKドラマ「氷壁」:

« 根子岳山スキーと戸隠ゲレンデ | トップページ | 五日市剛講演「ツキをよぶ魔法の言葉」 »