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2006/08/23

5分の1の確率のマッターホルン

早いもので去年のスイス登山の旅から1年が経った。去年スイスで一部ご一緒だったS夫妻は今年も元気にヨーロッパアルプス登山に現在渡欧中。こちらは、暑い日本の夏山であっけなく、途中リタイア。(苦笑)


ところで、最近は便利なもので、随時ヨーロッパアルプスの登山状況がわかる時代だ。ライブカメラはもちろんのこと、私の最近のお気に入りは、アドベンチャーガイズの近藤さんのプログ江本悠慈ガイドのプログだ。お二人とも国際ガイドなので、正々堂々とガイディングを世に公表できる。(実際は、国際ガイド資格がないのに外国にプライベートと称してもぐりで日本人がガイディングしているケースも多いのだが。)

近藤さんは主にツェルマットベース、江本さんはシャモニーベースで活躍されている。もちろんスイスもフランスも近いのでお二人ともドル箱コースのマッターホルンはガイドされている模様がプログに描かれている

今年のヨーロッパの夏山は7月までは猛暑で乾々の状態で、マッターホルンに雪が全く付いていないという最高のコンディション。お二人のガイディングでもそれぞれ1~2パーティは登頂。ところが、8月に入ると雪が降ってしまい、去年の洪水災害とまではいかないものの相当な雪が降っている模様。よって、高い山を目指すのは無理の状態になってしまい、ほとんど自分の去年の状況と同様って感じのようだ。


近藤ガイドは既に8月20日でスイスのガイドは終了。結局プログを拝見するところ2名しか登れていない。後半行った恐らく10名弱?の人たちは全員駄目のようだった。江本ガイドは岩のクライミングガイドがメインなので、岩は乾けば行けるので、そこそこにガイドできているようだ。


実は自分の参加している登山学校のS先生も国際ガイドなので、19日よりツェルマットに行っている。1名の顧客のマッターホルンガイドのためだ。この顧客と言うのは自分はお会いしたことがないが、なんと8月の最初からツェルマットに滞在しているという。先生の話だと、某大手新聞社を退職された方でコラムなども書いていた方だという。8月前半は現地ガイドを紹介してもらう形で狙っていて、それでも無理な場合はSガイドで・・・という2重構えの作戦だという。


なんせ、8月の最初から狙うというとSガイドが向かうまでに約3週間もあるので、先生も「さすがに登れているんじゃないですか? それにさすがにそれまでずっと待機するとなるとモチベーションが持ちませんよ」とやや消極的だったそうだ。しかし、<なんとしてでも今年のうちにマッターホルンに登りたい>という熱意に負けて先生もOKすることにしたという。それまでに登れていたら、別の山に登りましょう・・・・という算段だそうだ。少なくとも先生が出国するまでその新聞社OB氏はマッターホルンに登れていない模様だ。


S先生に聞くところによると、先生自身はマッターホルンガイドは5回行って1回しかガイドは成功していないという。全くお天気次第で、取り付くことさえも許されないか、或いはソルベイまでにアイゼンをフルに使って7時間かかってもソルベイ小屋までも到着しないとかしたとかいう超厳しい状況。もちろん現地ガイドはそんな時は入山しないが、お客さんの中にはせめてものソルベイ小屋までは行きたいという強い要望があれば行くという。相当にハードな山行だという。唯一登れたお一人も、2回目の挑戦だっという。先生自身は根っからのクライマーなので、正直なところソルベイ小屋まで何度も行っているので少々食傷気味。あそこまではクライミングというよりも迷路さがしみたいだし。。。ソルベイから上ならばもっと面白いのにな。。。って感じのようだ。


S先生が親しくしている有名な鈴木正巳ガイドによると<マッターホルン登頂確率5分の1>というのは妥当な線だそうだ。鈴木正巳ガイドはガイドの草分けで、より長くガイド業をしているので回数がもっと多く行ってはいるが、それでも単発的に1週間や10日間で狙った場合はそれぐらいが限界という。(近藤ガイドのようにずっとスイスに張り付いた形で滞在すればもう少し確率がよくなるかもしれないが・・・・。)


確かにお天気に恵まれて簡単に1発で登れている方もいるけど、何度行っても登れる状況にならない人もいる。自分はたまたま2週間の休みで実力不足も甚だしく登れることはできたけど、なんだか運を使い果たしたぐらいラッキーだったと今更ながら痛感している。


よって、去年で大いに山での運を神様に分けていただいたので、今年の夏山は少々物足りなかったけど、悪天候までには至らずにそこそこのお天気にもめぐまれ、2年ぶりのテントで寝る感触も味わえたし、膝も少々痛めた程度で酷くもなくて、これは幸いと思わないといけないもんですわ・・・・と自ら納得する次第です。

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コメント

そうだったのか。私は8/3~8/9までしか滞在していなかったけど、その後も全然行けていないんですね~。しかも確率5分の1とは。行けたらラッキー、、という心構えで行かねばなのですね。
MINMINさんは普段の行いと心構えがよかったんですね、きっと。
ご紹介されてる2人のガイドさんのブログを読んでいると、登れなくても楽しそう。ツェルマットのあまりに冷たい(?)ガイドツアーと比べると特に・・。
今度はいつチャレンジできるか分かりませんが、ケチらずに日本のガイドさんと行けたらいいな、とも思いました。
(・・というか、私は山岳会に入っているので自分で登れる位実力をつけてから行け、という噂もありますが。。)

投稿: Hirarin | 2006/08/25 00:41

そんなに確率が低いのですか。
MINMINさんって、運を引き寄せそうなイメージだから、なんか、納得。もちろん、いろんな準備や努力をした上での『運』という意味ですが。

以前の講演会のこと、思い出してしまいました。自分で運を引き寄せるような明るさというか、オーラ、大事だなと思います。

投稿: ぴとこ | 2006/08/25 08:59

ケンケンブログ、お気に入りで略毎日見てます。
MINMINさんは登れて、本当に良かったですね。
運も実力の内。

丁度、知り合いの旅行会社の人からモンブラン登山の愚痴を聞いた所でした。 あまりに実力が無い日本人が多いので、評判がとても悪いそうです。 国際ガイドでない日本人のガイドはガイド禁止になるとか。(詳細は不明です。)
日本人ガイドは実力より言葉の問題で、国際ガイドの資格が難しいらしいですが、問題は登山希望者の質なんでしょうけどね。
この辺もツアー登山の延長なんですかねえ?
マッターホルンとは別の話で失礼致しました。

投稿: REI | 2006/08/25 19:43

★Hirarinさん
お二人のガイドさんのプログは、ガイド登山をする、しないに関わらず、現地の様子がよくわかって大変ためになるでしょう?

>ツェルマットのあまりに冷たい(?)ガイドツアーと比べると

やっぱり、冷たく感じましたか? 英語できる人ならばコミュニケーションがしやすいので、そんなことはないのかな?って思ってました。
私の使ったエージェントは、やはり優しい感じの人とか、本番に行ったオーストリア人も温厚なタイプの人を紹介してもらえました。そのあたりが良かったと思います。ガイドの紹介だけでも頼もうと思えば頼めますよ。少なくともアルパインセンターでの一見さんで頼むのよりはいい感じかも?

山岳会に入られている方だと、マッターホルンのような外国の山をガイドで登ることにいい顔をされないことも多いと思いますが。。。。。 人生永遠に長くはないので、行ける状態の時に行った方が良いなって思うものです。

投稿: MINMIN | 2006/08/25 22:14

★ぴとこさん
運は本当に去年はついていたとしか言いようが無い。。。
でも、人生ってそんなものかなあ。全て予定通りには行かないものだし。ついているときはついているものだし。。。

以前の講演会のことって「五日市剛氏」のことかな?
ココログでアクセ分析を見れるけど、氏のことでこのプログを見る人はとっても多いんですよ。。。(笑)


投稿: MINMIN | 2006/08/25 22:17

★REIさん
既に外国でのガイドは国際ガイド資格がないとできないようになっております。たぶん10年弱前位からかな?(年数は不確か)
特に厳しいのがモンブランを抱えるフランスで、普通の国際ガイド資格の他に、フランス用の許可も別に必要とのこと。ダブルの資格がないと駄目。

それでもって、私の従事しているSガイドは国際資格は持っているけど、フランスの資格を申請する時期が僅かに遅れてしまってフランスの許可をもらえず。

Sガイドはマッターホルンのガイドはやっても、フランス領の山にはガイドできないので行きません。ところが、もぐり行為でかなり多くの国際資格も全く持っていない日本のガイドがフランスでガイド行為もどきをやっているのでいつも憤慨してます(笑)
モンブランの他にも岩の手ごろな登攀ルートがシャモニーには身近にたくさんあるので、とても美味しいガイド稼業ができるそうです。それに対して、スイスは登攀ルートというよりも、マッターホルンをはじめとした大きな山に登ることになるので、ガイド効率が悪いのです。(高い大きな山は天気が悪いと登れないのですが、シャモニー周辺のような手ごろな登攀ルートだと標高も低いのでガイドしやすいそうです)

日本人の登山者の質が落ちたというのは、たぶん真実だと思います。かつては、一応山岳会などで冬山トレーニングしている人などが海外に行っていたと思いますが、最近は百名山めぐりの延長で冬山やっていない人でも簡単に行ってしまう。さらには、おそらく平均年齢がとっても高いことが問題なのでは?

年のことは言いたくないですが、高齢者を登らせるのはやはり恐いので、以前は若者も結構ヨーロッパに渡って山を登っていたでしょうけど、今の主力はリタイア組みとかそれに近い年齢の人がですから、実力や質が落ちたと言われてもやむなしかなあ・・・。 

こんな話をしだすと、きりが無いですが・・・ (苦笑)

投稿: MINMIN | 2006/08/25 22:31

もしかしてS先生とはJ○GUに所属の方ですか?
私の知り合いも鈴木正巳氏の昔の仲間だと思います。 「もぐり」でモンブランも顧客に同行してます。 それも出来なくしたいらしいです。(これは旅行外社の知り合いからですが)

登山者にもガイドにも1/5の確率は痛いですね。
私から見てMINMINさんのマッターホルンの一番素敵な事は、歩いて麓まで下りた事なんです。
見当違いで申し訳ない事ですが。

投稿: REI | 2006/08/26 18:49

REIさん
S先生はご想像にお任せいたします。(笑)
もぐりのモンブラン登山ガイド、確かにフランスでは相当に強硬な態度で日本人対策をしていると伺っております。
だから、日本人でフランスの免許を新たに取得するのが困難になっているそうです。

確かにガイドさんも5分の1確率は参りますよね(苦笑)
最近の異常気象現象がかなりヨーロッパにも影響があるようで、以前はここまで登れなくなかったようですが。

投稿: MINMIN | 2006/08/27 16:02

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