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2007/05/09

無謀を絵に描いたような・・・

GW連休に槍ヶ岳に行った時に見た光景から。

今年は槍の穂先が大変雪が多く、登るのはかなり厳しかったということは既にご報告したとおり。

ところが、・・・

誰が見ても、どうかと思う人達を見かけてしまったので、つい書かずにはいられない。

それは、まだ朝食の時間(5:30)の前だった。皆がご来光を見るのに表に出たり、窓から外を見ている頃に2人だけが穂先に登りに上がっているのです。夏の時期と違って大量の雪がついているので、朝一の凍結して難しい状態よりも、少しは雪が緩んだ方が登り易いと思うのです。何よりも、暗いとルートが見えにくいですね。

自分が気づいた時にはまだ大分下の方で、最初のはしごまでも相当に困難を極めて登っている様子が見えた。一人は女性のような? 自分はそのうち朝食を食べに行ったけど、戻ってきてもまだ全然進んでいない。

そうこうしていると、色々な人の話から前夜からピッケルも持っていないようなカップルが穂先に朝一に登ろうとしている・・・・という噂話が入ってきた。見ていると途中で登るのも下るのもできないで困っているように見えたのでした。そのうち、自分の方は槍沢を滑りに行くので気分はるんるん♪ 忘れてしまっていた。

それが、大分経って小屋の外で下山の飛騨沢への滑走準備をしている時だったろうか? ジョギングシューズみたいな布製のローカットシューズに、6本歯のアイゼン、スパッツもシューズが小さすぎてうまくまとまりが悪いような感じ。さらに、女性の方は安く売っているナイロンのパンツの上にハーフパンツを外に履こうとしている。なんか、とっても変な恰好のカップルだった。雨具も<涸沢ヒュッテ>とか書いたポンチョ?みたいなのをザックにつけていたような?

まあ、夏山なんかでは山を舐めた恰好した若いカップルっていうのは見かけますが、ここは3000mの雪山なんですけど・・・・。

それが、どうやら朝一で小屋から見ていたお騒がせカップルだったのでした。(私の同室の女性など、あまりに心配して小屋の人に「ろくな装備も持っていない人達が登っているんですけど」ってわざわざ報告するほどの状態でした。小屋の人は「一応自己責任なんで、止めるわけにも行きませんし」というような回答だったそうだ。)

小屋で顔見知りになった方から、あの人達よ・・・って後で言われたので、もっとよくよく見ておけばよかった・・・・。確かにストックは持っていたようだけど、ピッケルは?自分は確認できませんでした。

思うに、彼らは確信犯的な感じの人のようだった。わざわざ人が注目する度合の一番ある朝の時間に<私達のことを注目して!>って感じで行う一種の無謀まるだしのパーフォーマンスってことのようです。

私が思うに、一番滑稽だったのはこの雪の上をジョギングシューズでずっと歩いているということ。よく雪国の地元の人なんかは長靴で山を登っている人も見かけるけど、長靴は防水性に長けているので暖かいですよね。彼らの足元は恐らく水が沁みて冷たくなっているかと思うと、おそろいのシューズを履いたカップルがなんだか無性に漫画チックに見えてくる。だけど、氷点下にもし悪化すれば、たちまち凍傷の危機が来る可能性があることまでは彼らにはわからないだろうな。

槍の肩までならば、確かに大いに譲って6本歯でも登れなくもない。ステップができていてアイゼン無しでも登れる状態のときも結構多い。だけど、山ってそういうもんじゃないだろう。ましてや、今年の雪の多い状態の穂先を前歯なしの6本軽アイゼンで登ってってしまうとなると、冒険じゃなくって、それこそ無知無謀ってことだろうな。

とっても、目立ちたがり屋の変なカップルでしたが、正直な所見たくないものを見た心境でした。色んな人がいるけど、少なくとも装備は最低でもそろえておきたいし、自分がやっていることが客観的にどうであるかを考えることができる見識を持った行動をとって欲しいものです。

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登山」カテゴリの記事

コメント

信じられない話ですが、その方たち死ななくて良かったですね。

投稿: あや | 2007/05/09 01:05

おはようございます。
私の時は雪が少なかったのですが、二人連れの若い男性でした、私たちが穂先から下りてきたときにすれ違いで穂先に上りだしました、食事を済ませてそろそろ下山というときに槍をみてみるとさっきの男性ふたりの一人が途中で固まって動かないのです、相当時間がたっていましたが、小屋の人が助けに行くことになったのです、MINMINさんの出会った人たちは装備ですが、私の場合は簡単に登れると思ってきていたのです、山は天候も急変しますし、もっと考えて登ってほしいと思ったのでした、事故になれば家族もそうですが周りのかたがたに迷惑をおかけすのですからね、私がそうですが・・(笑)

投稿: kuro | 2007/05/09 07:14

山初心者のワタクシでさえ、「はぁ???」って思ってしまうような方々ですね(汗)
地元・福島では、磐梯山で同じように装備不足なカップルが遭難してましたよ・・・

アイゼンも満足に装着できない私が言うのもヘンですが、
無謀系の遭難・事故をTV・新聞で見るたびに
「・・・簡単に山に入るな~~~~!!!!」
って思ってしまいます。。。。
登山って見た目のイメージよりずーっと難しいと思うのです。

投稿: N家知三朗 | 2007/05/09 08:07

GW後半、雪がぐずぐずだったので肩の小屋までアイゼンなしで登りました。
でも、それは私達が雪に慣れているからであって、しろうとさんにはむずかしかったでしょう。
まわりの人達は皆アイゼンはいていたし。

槍の穂先、超ベテランだったら6本爪でも可能だと思いますが、
私だったらやはりこわいな~
前爪ばりばり使うもん。
でも、大昔は前爪がなかったんですよね。
昔の人はえらかった。

赤岳でも恐ろしい軍団がいたそうですよ。
詳しくはこちら:
http://diary.jp.aol.com/9rrkknp8hwd2/309.htm

投稿: オーロラ | 2007/05/09 08:20

う~~~これらの指摘は自分にも当てはまったりするから笑えないし怒れない!!涸沢岳から白出のコルにむけての滑走は・・・パフォーマンス以外何者でもない。こけたらやばい場所だった・・・涸沢に向けて真っ直ぐ落ちてしまっていたかも

投稿: じゅん | 2007/05/09 12:49

オーロラさんへ

>詳しくはこちら:

見えません。。。

投稿: あや | 2007/05/09 15:54

うぬぬ、おかしいな?
これでどうでしょう?

http://diary.jp.aol.com/9rrkknp8hwd2/309.html

投稿: オーロラ | 2007/05/09 19:11

★あやさん
いや、本当に死ななくてよかったですね。
混雑した時間に登って滑落されたら、巻き添えになって事故に巻き込まれる人も出たかもしれないので、ある意味、あの時間に登ってくれたのは、他の人にとっては良かった?

投稿: MINMIN | 2007/05/09 19:46

★kuroさん
やっぱり、小屋の人が助けにでる羽目になるんですね。小屋の人達は大変な仕事ですね・・・
私の見たカップルは装備だけでなく、もちろん、技術的にも大変に疑問なレベルだったと思います。下部の比較的楽な部分も相当時間かかっていたし。。。また、後で考えると女性がハーフパンツを上に履いて槍沢を下った・・・というのは、下りでお尻をついて降りてるためじゃないかな?単なるファッションという考え方もあるけど、足で降りないで、お尻が降りるためじゃないかな?

投稿: MINMIN | 2007/05/09 19:52

★N家知三朗さん
磐梯山でもそういう事故があったのですか。山はもちろん、装備だけではなく、技術や知識や経験なども必要ですが。あまりに安易に雪山を考えすぎる人達は・・・困ったものですね。

投稿: MINMIN | 2007/05/09 19:55

★オーロラさん
リンクのページ拝見しました!!
これまた、すごいもんですね。是非、皆さん必読って感じ。
裏にびょうが打ってあるような長靴は、癒し系のなだらかな山でかつ、凍結しないような気象状況ならば、それなりに使えるんではと想像はしているんですが。癒し系の山ではたまにおみかけしますが。。。赤岳でとは場違い甚だしいですね。警察官も大変ですね。

朝の槍の穂先も、ちょっと似た感じで、<危ない奴らが登っている>って皆が見守っているようなムードが一部ありました。(もちろん、全然気にしていない人達もいましたが。)

実は自分も殺生ヒュッテまで2回滑り降りたけど、一応アイゼンは担いで滑ったけど、雪は緩んでアイゼン効果も大してないので、2回とも兼用靴だけで登りました。こういうのも、自分の経験値との感覚かなあ。

確かに昔の人は前歯のない10本歯アイゼン使っていたんですよね。でも6本歯よりも大分大きいし。例のカップルが恐いところはジョギングシューズなので、キックステップも効かないだろうということもありますね。ちゃんとした登山靴ならば、ステップがきっちり決まるけど。

投稿: MINMIN | 2007/05/09 20:06

★じゅんさん
じゅんさんの行ったのはパーフォーマンスであり冒険だとは思いますが、無謀というのとは違うと思います。

私の見たカップルは、たとえるならばエッジのないクロカン板で、ゲレンデでもボーゲンもまともに滑れないで状態で、じゅんさんと同じ涸沢岳を滑ったような感じです。

スキーを滑らない人から見ると、山スキーの連中が普通に滑っている槍沢上部の斜面も一種のパーフォーマンスに映るようあも?私も危険なねーちゃんに映っていたかも(爆笑)

投稿: MINMIN | 2007/05/09 20:12

危険なネーチャンか・・・じゃあ俺は危険な懲りないojinnといったところですね。そうですよね・・・今回、白出登っている時下ってきた単独に・・・ここをスキー担いでどこを滑るか?と聞かれ、奧穂山頂滑ってここから帰る・・といったら、その単独はびっくりマークになっていました。確かに自分も初めてGWの穂高に登った時に奧穂山頂で山スキー担いだ単独青年?に遭遇しどこを滑るのか?と聞いたことがありました。その時に・・・昨日は涸沢側滑ったから、今日は滝谷側滑ろうかなと思って・・・と言いました。その時の驚き(というよりこの人はくるっとる~~)と感じたことが思い出されました。今思うとこの時のルートが奧穂直登ルンゼであり、滝谷C沢なのかな・・・自分は30過ぎからの遅咲きで、山はずっと単独でやってきて、スキーもほぼ単独で、決して進歩は速くは無かったけど、なんとなくこんな世界に今、入ってしまっているのかな~~~と実感してしまいます。全ては山スキーというものを知ってしまったのが原因です・・・・

白出は急だけどスキーのほうがつぼ足より格段に早く安全に降りれました・・・スキー場で言えばこぶの無い上級者コース的感覚ですけど・・・ただ視覚的に真っ直ぐ落ちてゆき受けた斜面が無いこと・石が飛び出している・雪面が波打っていることがスキー場との違いかな・・

投稿: じゅん | 2007/05/10 08:04

落ちれば良いんだ ・ ・ ・ 。

失言失礼でした。 迷惑ですもんね。

投稿: REI | 2007/05/10 14:32

MINMINさん、お久しぶりです。やーっと落ち着きました。

さて、どこにでも無謀な人たちっているんですね。一定の高度のある山は欠けててもいい装備なんて
無いですよね、足回りにしてもウェア類にしても。
雪山でとあるパーティが私たちにルートを聞いたときはさすがに「地図くらい持って山に入れ!」と
喉まで出かかったなぁ。

投稿: ゆき | 2007/05/10 18:46

★じゅんさん
危険な懲りないojinnさんって、確かにそうですね。(苦笑)
白出沢を下るツボ足登山者っているんですね。自分的には涸沢から登るほうが安全って思っているんで、なるべく白出沢は登りたくないですね。滑りならば時間も僅かですから、<コブのない上級コース・・・うーん、甘いささやきの響きだなあ!>
を滑るのも一考ですが。

じゅんさんの初めてGWの奥穂で見た山スキーの猛者の人って、当時はまだ今ほどエクストリームは注目されていなかったから、恐らく相当な有名人だったんじゃないかな?Yさんとかかなあ? 頭くるっとる~って (爆笑)って確かにそりゃ、そう思うわ! 

山スキーは雪山を登る楽しさと滑る楽しさが二つあって、なんかいいですよね!ツボ足を自分は長くやっていたけど、ツボだと下りは消化試合みたいな感じだけど、スキーだと1粒で2度美味しいみたいな? 

投稿: MINMIN | 2007/05/10 21:19

★REIさん
ほんと、迷惑さんですから、あの時間に勝手にやってくれたっていうのは、ある意味助かりました?!
見ていて腹立たしい気分もありましたね。

投稿: MINMIN | 2007/05/10 21:22

★ゆきさん
ようやく家財は船便で着いた頃なのかしら?
落ち着かれた・・・ということで、今まで不便な生活だったと思うので、よかったですね!
もうちょっと余裕がでたら、憧れの温泉プラス山を是非是非実現させてくださませ!

あの、雪山で地図持っていないのですか?ヨーロッパでもそういう連中がいるんですね!
確かにある高度以上、また雪のある季節などだと絶対的なあるレベルが必要ですよね。少し吹雪かれた時の5月の北アの厳しさ、全然わかっていない人多いですね。

投稿: MINMIN | 2007/05/10 21:27

MINMINさん、こんにちは~。
さすがGW,すごい人がいたんですね。。。びっくりというかあ然です。
こういう系(どういう系だ)って、日本の山にいる外国人にも多いように思います。以前雪の立山でもフツーのキャンパス地のスニーカーで雄山に登頂してた人みたし。
本人だけならまだしも、もし滑落して周りを巻き込んだら・・どうするつもりなんでしょうねぇ。

ところで!槍からの滑走、すごいですね!!ほんとにうらやましいです~。一度は滑ってみたいなんて思っているんですが、あたしにはまだまだ無理だなぁ。。。
レポート楽しみにしていますね★彡

投稿: TiCA | 2007/05/11 17:01

★TiCAさん
どうも、東北からお帰りなさい。
立山も外人さん多いですね。確かに彼らはあまり日本の雪山とか知らないで装備の面でイマイチの人もいますね。(もちろん、万全の方達も一杯いるけど、駄目な人も目立っちゃう)

槍は今回のルートは体力に自信ない人向きの推奨ルートです。
ただ、ボードだとずっと担ぐので大変ですね。スキーはツボ足よりも楽な部分もありますよ。
私の滑ったルートは無難な楽勝ルートばかりですのでボリボリ・・・・

投稿: MINMIN | 2007/05/11 21:03

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